中村隆象市長の施政方針 手厳しい意見相次ぐ

施政方針の古賀市と大野城市の比較
施政方針の古賀市と大野城市の比較

 3月2日の古賀市議会議会本会議で中村隆象市長の施政方針に対し各会派の代表等7人が質疑を行いました。今回の施政方針があるべき姿とはとても言えません。私以外の質問者からも厳しい指摘がありました。その概要を報告します。いつも長い報告で恐縮ですがよかったらお読みください。

<手厳しい声が目立った>

 「自己満足の作文」、「伝わるものがない」、「今まで協力してきたが今後は是々非々としたい」、「手触り感、つかみどころがない」、「市制施行20周年の心のこもった取り組みを求める」、「職員の質の低下は致命的であり最大の課題」等々の発言が会派代表等から発せられました。

<私の質疑の論点>

 施政方針で触れられるべきこれまでの評価や総括、時代認識、市政運営の基軸、行財政運営の基本方針などについて中村市長にともかく語って頂いた。それぞれについて再質問はしなかったが一般質問でさらに深めたいと思っています。

 今回一番気になったのは、計画行政になっていない点です。昨年の夏ころに2017年度に向けた集中的議論を行い、施政方針の骨格を定めること、それを具体化するための計画を予算案とともに提案できるように準備するのが本来の姿だと思います。古賀市はそれが出来ていません。公表できる各部の計画がないことが判明したのです。(教育部はグランドデザイン発表会並びに報告会で「見える化」がなされています。)この点は一般質問でさらに迫っていきます。

<詳細なやり取り>

 以下質疑応答の内容を報告します。

第1に、施政方針の作成プロセスです。

奴間 いつ作成したか、他市の施政方針を検討したか、後期基本計画が確定していないもとで作成されたが計画行政と言えるか。

中村市長 1月中旬から作成作業に取り掛かった。他市の施政方針は参考にしたが十分な検討は行っていない。後期基本計画は念頭において施政方針に反映させた。

奴間 庁議の場で議論し作り上げたか。

中村市長 私と両副市長、教育長、5部長に経営企画課、財政課を加え、協議を行いながら庁議にて最終確認を行った。

奴間 各部の方針・目標はあるか。公表できるか。

中村市長 策定にあたって部長それぞれの考えを聞きつつ議論していることから公表できるものはない。年に1回各部長の基本的課題、問題点も含めて会話をしている。その時のメモはあるが公表を前提としているものではない。今後は公表も含めて検討したい。

建設産業部長 来年度の方針は作成しているが公表はしていない。

奴間 施政方針は職員全体のものになっているか。

中村市長 職員にも周知しており共有できているものと考える。

第2に、市長のより深い時代認識です。

奴間 トランプ米大統領の就任やその影響をどうみるか。

中村市長 いろいろ論じられているが就任されたばかりであり日本政府の対応も含め今後の動向を見守りたい。

奴間 アベノミクスや地方創生政策をどう評価しているか。

中村市長 一定の評価をしているが道半ばであり、今後の経済動向を注視したい。

奴間 時代の変革期に地方自治体の運営について留意すべきことをどう認識しているか。

中村市長 自治体はその都度柔軟な対応力とその先を見据えた持続可能な行財政運営が必要と認識。

第3に、まちづくりの振り返りです。

奴間 マニフェストの前半2年の自己評価はいかがか。市民の住みやすさ満足度をどう認識しているか。

中村市長 「10の想い」は着実に実施できているものもあるが道半ばであり自己評価はもう少し時間を頂戴したい。概ね住みやすいという評価を頂いていると認識。

奴間 後期基本計画の策定結果、まちづくり基本条例案の提案に至ったことについてコメントはないか。

中村市長 後期基本計画は約1年、まちづくり基本条例案は約2年かけ、庁内協議はもとよりパブリックコメントや公募市民などで構成された策定委員会等からの意見を頂戴し、十分な審議の上作成することができたと認識。

第4は、最重点の取り組みです。

奴間 2017年度の最重点は何か。市長の想いを込めた取り組みは何か。

中村市長 施政方針で示した4点の取組が重点であり順番をつけるつもりはない。

奴間 2025年問題への備えは盛り込まれたか。

中村市長 地域包括ケアシステムの構築を推進するため、地域における健康づくりや介護予防をはじめ地域医療の充実と医療・介護連携の強化などを盛り込んだ。

奴間 「地域包括ケアシステムの構築を推進」とあるが構築する場所、件数、人と予算の措置はどうなっているか。

中村市長 古賀市がめざす「地域包括ケアシステム」とは市民に対して医療・介護・福祉などのサービスを関係者が連携・協力して一体的・体系的に提供する仕組みづくりであり、予算については介護保険特別会計の地域支援事業費の全般や、一般会計の健康づくり活動促進事業等、地域での健康づくりや介護予防の取組などを計上している。

第5は、行財政運営の基軸です。

奴間 基金取崩の大幅増の決定的要因は何か。

中村市長 歳出面では扶助費の自然増や保育所運営費、ふるさと応援寄付の返礼に伴う消耗品費や公共施設等建設保全資金積立金の増があり、歳入面では臨時財政対策債を含む地方交付税の減などが要因として挙げられる。

奴間 中長期的な財政計画の策定・公表はいつか。

中村市長 財政課で策定しているが公表は現時点では考えていない。

奴間 健康・子育て・教育の先行投資は怠るべきではないと思うが盛り込まれているか。

中村市長 いくつかの新規事業も計上しており怠っているという認識はない。

奴間 財源確保の具体策の決め手はあるのか。効率的財政運営とは新たに予定があるのか。

中村市長 広告料収入や売払可能財産の洗い出しを行うとともに、受益者負担の適正化を図りながら、歳出面においても民間活力の導入や事業の広域化・共同化を推進することで効率的財政運営を行う。

第6は、市民・職員への呼びかけです。

奴間 市民、全職員を対象に施政方針の発表・説明・質疑応答の機会を作る予定はあるか。

中村市長 出前講座を活用し市民を対象に施政方針の説明や質疑応答を行う。職員との共有はできていると認識。

奴間 各部に対応する市民委員会など市民が常時まちづくりに参画できる仕組みづくりが必要と思うが計画はあるか。

中村市長 現時点では設置計画はないが今後も市民参画の機会を確保する環境整備に努める。

奴間 新人職員研修にフレッシャーズノートを活用するか。積極的に地域に入り、問題意識を持って挑戦する職員育成を進められるか。国内留学の機会を作って資質向上のチャンスを保障すること。トップの役目。

中村市長 平成28年度から新規採用職員サポーター制度を施行しており平成29年度から本格導入する。「古賀市人材育成基本方針」に基づく取組を進める。他自治体、民間への派遣は従前からやっている。経産省に職員を派遣している。

第7は、国保税大幅増の結果評価です。

奴間 前回の税率改定をどう評価しているのか。

中村市長 国民健康保険に要する費用から国庫負担金等を控除した残額に当てる目的税として賦課するものであり適正な受益者負担であると考える。大幅な改定であったためいろいろとご指摘を頂いたことは真摯に受け止めている。

奴間 財政運営の改善策をどう考えているのか。

中村市長 特定健診の受診率向上の取組を行うことにより医療費の抑制に努める。

奴間 来年の国保体制変更にどう備えるのか。

中村市長 来年4月の国保体制変更により市民に混乱が生じないよう万全を期したい。