社会保障の毎年度の実態把握と財政計画の策定・公表を指摘

多治見市の財政計画(1)
多治見市の財政計画(1)

 12月16日の古賀市議会の本会議で私は一般会計補正予算について討論を行いました。原案には賛成の上、今後の行財政運営にとって留意すべき点を指摘する討論でした。

ア)今回の補正は7億3057万3千円の増額補正で、予算規模は207億1013万6千円となる。財政調整基金積立が約2億円あることから実質の歳出は約5億3千万円。そのうち消費税率引上負担軽減事業費1億6412万9千円、私立保育園運営補助事業費1億4084万6千円、障害者自立支援給付費4224万円、県道改良工事負担金3千万円などが大きな割合を占めている。

イ)今回の補正の性格を質疑したところ、「社会保障費の増に伴う補正」とのこと。実質歳出5億3千万円の財源の54.8%は国・県支出金。

<留意点❶>障害者福祉、児童福祉あるいは医療や介護などの社会保障、扶助費の実態把握と推計

 長野県松本市は毎年7月までに前年度の実績をまとめた「松本市の保健衛生」という記録を作成。この実績をもとに次年度の方針や予算、人事体制を作り上げる。実態把握と総括は推計や企画力に役立つ。古賀市にはこれが欠けている。「社会保障は推計が難しい」というだけでは後手後手になる。

 「古賀市の障害者福祉」、「古賀市の児童福祉」というような記録を毎年度作成することを検討して欲しい

<留意点❷>財政計画。

 質疑の中で、中村隆象市長は、「毎年の収入の範囲でやりくり算段するしかない」という趣旨の答弁。横田副市長は、交付税は厳しい、扶助費の伸びはどうすることもできない、税収を確保するしかないという趣旨の答弁。

 このような認識にとどまる限り、2025年問題をにらんだ予算の重点配分はむずかしい。古賀市の施政方針がまちづくりの基本設計図ではなく、予算査定で生き残った事業を後追いで説明する文書になっている原因がここにあるのではないか。

 大野城市や多治見市のように総合計画に掲げた政策を着手・実行するための財政計画を策定している自治体もある。自治基本条例等で財政計画の策定・公表を義務付けている自治体もある。

 古賀市においても計画行政の実現に向けて財政計画の策定・公表に一歩踏み出してほしい。

多治見市の財政計画(2)
多治見市の財政計画(2)