法人税率改正、セルフメディケーション税制について留意点を指摘

セルフメディケーション税制の概要
セルフメディケーション税制の概要

 12月16日の古賀市議会の本会議で私は市税条例の改正について討論を行いました。原案には賛成の上、今後の市政運営にとって留意すべき点を指摘する討論でした。

❶法人税割の税率改正

ア)消費税が8%から10%になる2019年1月1日から、法人市民税の法人税割の税率を12.1%から8.4%に引き下げるもの。古賀市の影響は、5億7000万円の法人市民税が4億7000万円に約1億円の減収。

イ)企業にとっては、国税である地方法人税の税率が引き上げられることから負担は変わらない。

ウ)国にとっては地域間の税源の遍在性を是正し、財政力格差の縮小を図るための交付税の原資確がねらい。

エ)古賀市のように地方の小都市で企業があるところへの影響は大変心配。1億円の減収については地方交付税で措置されるとのことだが本当に穴埋めされるか疑問。

<留意点>既存企業の皆さんが古賀市で安定して操業できる環境づくり、また新たな企業の誘致に向けた積極的なトップセールスを展開することが重要である。これらの歩みを止めれば税収は減る一方となりかねない。

❷特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)

ア)施行期日は2019年1月1日。来年1月以降の特定一般用医薬品購入から適用される。

イ)今回の特例で新たに対象となる方は、医療費が10万円を越さず医療費控除の対象になっていなかった方で、対象医薬品を1万2千円以上購入した方。たとえば、2万円買っていれば、1万2千を超す8千円が課税所得から控除される。所得税で1600円、個人住民税で800円の減税となる。

ウ)医療費が10万円を越し、医療費控除の対象となっている方は、医療費の10万円を越す分と対象医薬品の1万2千円を越す分の多い方、つまりお得な方を選択することができる。

エ)適用を受けるためには、特定健診などを受診することが条件。

オ)事務量の増加、市民税の減収と、医療費の抑制とのバランスで全体的な効果をどう評価できるかは難しい。

カ)この制度の周知については、議決が得られれば、保健福祉部とも連携して年内にやれることはやっていきたいと市民部長が答弁。

 

<留意点>今回は市税条例改正の分野から特定健診受診率向上が飛び出してきた。かかりつけ医を持とうという呼びかけと、自主服薬で医療費抑制を図る取り組みの整合性については疑問が残る。今後の市政運営にとって、健康づくりと医療費抑制を推進する司令塔の存在とその機能の発揮がますます重要になる。

法人税割改正の概要
法人税割改正の概要