2016年を考える 新聞各紙の社説から

各紙社説の一部
各紙社説の一部

 2016年1月1日の新聞各紙の社説は、各社のスタンスを前提に今年の日本と世界の課題に言及しています。私は毎年、各紙の社説を比較して読んでいます。特に最初の書き出しに注目しました。どういう言葉を最初に記すかは、筆者の思いが込められているからです。

 共通語として、「不安」、「分断」、「18歳選挙権」、「民主主義」などが挙げられます。どの社説も、現在の社会を明るく描いてはいません。

(1)読売新聞「世界の安定へ思い日本の責務」

「国際秩序の安定をどう取り戻すか。世界は今、大きな試練に直面している。」

①安倍政権の「1億総活躍社会」による成長戦略の推進

②「対テロ」連携が急務 ③安保法制の有効運用を

④法人実効税率引き下げ、原発の再稼働や新増設

⑤普天間飛行場の辺野古移設、憲法改正、安全保障と参院選での政権安定度

(2)日経新聞「新たな時代の『追いつき追い越せ』

「日本経済は景気回復基調にあるものの、力強さに欠け、企業マインドも消費者心理もすっきりしない。将来に対する不安をぬぐい去れないためだ。」

①ズレた自画像ただす・・・日本は世界の中位国でしかない

②範はスイス・オランダ・・・優秀な人材を世界から引き寄せる、グローバル農業

③明治、戦後と日本は2度にわたって外にモデルを求め、内を改め、世界に伍してきた。いままた新たに追いつき追い越せの時代がやってきている。

(3)毎日新聞「民主主義 多様なほど強くなれる」

「政治の新たな幕開けにあたり、民主主義とは何かを考えてみたい」

①今夏の参院選から18歳以上が初めて投票権を持つ。昨年は安保関連法をめぐり、民主主義の成熟度が試された。

②社会の分断をどう防ぐかは、グローバルな課題。パリ同時多発テロ、排外的な言動の広がり。

③日本は、自由に意見を言える社会ではなく、異論を認めない不寛容な社会になった。政党から闊達な議論が消え、日本は国策と針路を間違えた。

④二つの潮流・・・「国家主導型の社会」と「自律した個人の多様な声が反映する社会」。後者の道を選ぶべき。民主主義は多数決ではなく、少数意見の側がその選択の過程に納得しているかどうかで測られる。「多様性」と「批判を許すこと」が民主主義だ。

(4)朝日新聞「分断される世界 連帯の再生に向き合う年」

「地球が傷だらけで新年を迎えた。」

①あらゆるところに亀裂が走っている。修復するどころか、社会の分断につけ込み喝采を浴びる政治家や宗教者、言論人が登場している。

②「イスラム国」をめぐり分断に分断で対抗する動向。経済的な不平等による社会の亀裂の深刻さ。

③日本における子どもの貧困や非正規率の上昇、沖縄の米軍基地問題。「『同胞』への共感と連帯をもたらす本来のナショナリズムは、見る影もない」「『包摂』より『排除』に傾くナショナリズムは、ポピュリズムと同様に社会を統合するより分断する」

④COP21の合意の経験。「経済の時代の終焉」を執筆した慶応大学の井手英策教授の見解。理念より実際的な解決への理解。

⑤社会の分断は民主主義にとっての危機。「私たちみんなで決めた」という感覚がなければ、人々は政治的な決定を尊重しようとはしなくなる。社会が抱える分断という病理を直視し、そこにつけ込まない政治や言論を強くしていかなければならない。民主主義が壊れる前に。

(5)西日本新聞「地域と新聞 九州創生の胎動とともに」

「変革の予感を帯びながら新年が幕を開けた。」

①変革の起点は「地域」。安倍首相の「地方創生」のキャッチフレーズにも、違和感、抵抗を覚える。中央が「主」であり、地方が「従」ではない。国は地域の集合体。

②「地方は活性化するか否か」(こばやしたけし著)高校生の取り組み。

③「18歳選挙権」、「学生代表の議員を誕生させよう」という声。

④「限界」「消滅」を恐るだけでは前進はない。課題や危機感を共有しつつ、若い世代とともに九州の可能性を大いに論じ、変革の力に変える。「九州創生」元年にできないか。